近頃気になる作曲家3人


(1)フェルディナント・リース

 この名前は、ベートーヴェンのことを調べると必ず出てくるので昔から知ってはいたのだが、曲を聴いたことはなかった。
 たまたま最近図書館で見かけて借りた本「ベートーヴェンの愛弟子」(かげはら史帆著)で興味を持って、ユーチューブでいろいろ聴いてみた。ひところは「忘れられた作曲家」だったらしいが今はかなり見直され(復権し)、かなりの曲がレコーディングされている。

 

 例えば交響曲 


 こんな感じです。ちなみに1番の作曲が1809年でベートーヴェンの5,6番初演の翌年。4番が1818でベートーヴェンでいうと8番と9番の間ぐらい。なので弟子とはいっても同時代人でもある。

 4番の出だし付近にブラ1を先取りする音符を感じるのは私だけではないと思う。師匠の交響曲と比べられたらそりゃ誰だってキツイが、一度くらい演奏してみたいと思える程度にはチャーミングだと思いませんか?
 ところでベートーヴェンとリースはただの先生と生徒ではなく家族ぐるみの協力関係だったそうな。

 ベートーヴェンのお爺さんがリースのお父さんの就職の世話をしたり、そのお父さんはベートーヴェンのヴァイオリンの先生だったり。ボンの町で助け合っていたらしい。この辺は先に紹介した本に詳しい。

 


(2)ピーター・メニン

メニンは20世紀アメリカの作曲家。私は高校生の時に吹奏楽でこの人の曲「カンツォーナ」をやったことがある。吹奏楽オリジナル曲はある意味玉石混交で、民謡あり、ポピュラーありの教育用(若者向け?)ごった煮的な曲も多く(そういう曲で好きな曲もありますが)この人の曲はその手の曲とは一味違い、自分の和声・対位法能力を真正面からぶつけてきた感じがする。

 

 では「カンツォーナ」を解説付きで。

いかがでしょうか。なかなか面白いと思いませんか。

 で、この人も交響曲を書いている。

 いかがでしょうか。意地悪い言い方をすると先ほどの吹奏楽曲と似たような感じともいえるし、好きな人にとっては「これぞメニン節」という自分流を確立した人とも言えるかもしれません。
 一度はやってみたい曲です。


(3)ミリー・バラキレフ

 バラキレフという人はムソルグスキーファンにとっては彼を音楽の世界に出した恩人である同時に禿山の一夜の原典版に酷評を下し没にした(なので初演はムソルグスキーの死後)張本人なので複雑な気持ちなのだが、曲はきれいです。

2’30”からはじまるあたりを聴いてニヤッとし、3’45”以下の部分でムフフと言って下さい。ロシア国民楽派では民謡をそのまま使うは皆がやっていたことなのでこうなるのですね。
 ストラビンスキーのペトルーシュカなど超独創的な第2・第3場面以外はありものの曲をつなぎ合わせて作った楽しい場面なので民謡目白押しです。(春祭も素材は民謡が多いのだが極端にテンポなどいじってたりするので民謡臭さが抜けている。)ペトルーシュカは民謡だけでなくワルツなど他人の曲もいくつか混じっているので著作権的に苦しく、ディアギレフが苦労したそうな。

 

 というわけで、世の中には知られていないけど素敵な曲が山ほど埋もれている。という話でした。