田園交響曲の嵐のコントラバス

 ベートーヴェンの田園交響曲、第4楽章は「雷雨・嵐」で、かなりの暴風雨っぽい音楽ですが、演奏は大変です。

 大嵐になるところ(この楽章の21小節目)のチェロとコントラバスはこんな楽譜になっている。

 動画で演奏を見るとわかりますが、コントラバスは特にすごい勢いで手を動かさなくてはならない。

 

 ところで当初は(自筆スコアでは)コントラバスもチェロと同じ5連符だったという、たぶん初演のリハーサルの時にベートーヴェンも「これは無理だろう」と思って変えたのだと思います、というわけで

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「たぶんこうだったんじゃないか劇場」(田園編)

 

 初演のためのリハーサルにて

ベートーベン;「さあ、第4楽章の稽古をしよう.....(しばらくして)、コントラバス、なぜやめる!」

バス弾きA;「こんなの弾けるわけありません、指が燃えてしまいます」

ベートーベン;「となりの人は弾いていたじゃないか」

バス弾きB;「私の楽器は最低音をFにチューニングしているから、最初のパターンはなんとなるんすよね」

ベートーベン;「そういう事情もあるのか、まあとりあえず、見本に弾いてみてくれ」

バス弾きB;♪(弾く )

ベートーベン;「そうそう.....…。.....いやなんかおかしいな.....?…音をはしょっている?」

バス弾きB;「あ、バレました?調弦もあるけど、音を4個にしたからなんとかなったんです

       でもベトさんも最初気がつかなかったでしょ?」

ベートーベン;「おかしいな、低音はまだそれなりに聴こえるのだが、ピアノと違って弦楽器だと

        こんな感じに聴こえるのか…。ふむふむ勉強になったぞ…よし、変更だ。

        コントラバスは5連符の最後は全部なしにして16分音符にする。

        明日までにそれでさらってきてくれ、どのチューニングの人もだ。よろしく!」

そして初演してみて

 

ベートーベン;「完璧とはいかなかったが、あの場面は16分音符作戦で何とかなりそうだ。

        今回は、時間が限られていたが、出版したらみんな家でさらってこれるだろうし

        これで、決定!

        印刷するときは(チェロとバスが同じ段の時どうするかなど)出版社に考えてもらおう。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------以上は私の妄想ですが、ベートーヴェンが「これは無理」と認めて変更したのは確かでしょう。

これが「妥協」だったのか、「これで充分」と思ったのか、5連符と16分音符のズレが生む効果に「ケガの功名、ラッキー!」と思ったのかはわかりません。

 

 今日のプロのコントラバス弾きも、「俺はとにかく完璧を目指す!全員で16分音符がそろったならば凄い迫力になるのだ」という人もいるし、「こういうところはどうせちゃんとした音は出ないのだからごまかしてよいのだ、それよりも違うところに神経と集中力を使おう」という人もいるそうだ。(後者はヨーロッパのメジャーなオーケストラに割といるらしい)

 ひところは5音を4音にはしょるどころか3音、2音ですませてしまう奏者もいたそうだが、今は映像で残ってしまうのでメジャーなプロオケではちゃんと16分音符でやっているようだ。(YouTubeでいくつかこの場面の映像をみたところでは、です)

 さすがにベートーヴェンの原案通りにコントラバスも5連符でやるぞ!という演奏はお目にかかったことがありません。